指導方針:研究者・技術者の卵として学生に接し,「研究室文化の継承と発展」を求めます.


 学部3年までの状況と4年生からの研究室生活では,大きく変わる点があります.そのため,今までとは,生活習慣,大学内での過ごし方,勉強に対する考え方,これまでの友人関係,アルバイト,など,考え方を切り替えないと,卒業研究が立ちゆかなくなることもあります.端的に言うと,「すべて研究室中心の生活に切り替える」ということです.具体的には,

 

  • 履修すべき授業は「卒業研究」のみとなる
    • 空き時間は,大部分を卒業研究に費やす.「授業がない」=「暇になった」と勘違いしない.
    • 自分の研究に必要な情報は,研究室で過ごしていないと手に入りません.
  • 課題は,発表資料としてまとめ「口頭発表」する
    • 資料調査,発表資料の作成には膨大な時間が必要.
    • 発表に使うソフトウエアの使い方,文献調査には,先輩,同級生の協力が不可欠
    • 発表資料の作り方には「作法」があります.作った資料を先輩に見てもらうことが重要.
  • 「自分で考えて,自分で取り組む」ことが基本
    • 水書からは,期日と達成目標とそこに至るまでの道筋の概略説明がなされます.
    • 自分から教員に積極的に会いに行かなければ相談してもらう時間はありません.
    • 「今日何をするか」,「今週は何をするか」は協力してくれる他の学生と相談して決めなければなりません.

 これまでとは異なった大学生活となるなかで,水書は,

  •  学生には,「研究者・技術者の卵」として見なし,それを自覚した行動を求めます.
  • 「研究室文化」の継承と発展を求めます.

 「研究者・技術者の卵として接する」とは,...

 

 課題の口頭発表では,学生がどの程度努力して準備したかを評価するため,水書は真剣勝負で臨みます.覚悟してください.これは,発表の場では,「研究者・技術者として,教員も学生も同等」と見なしているからです.学術的な内容の議論であれば,学生が水書の提案や指示に異論を唱えても何ら問題はありません.ただし,水書は本気で論破しようと対応しますからそれなりの準備と覚悟が必要です.

 

 「研究室文化」とは,...

 研究室内の共通認識を理解し,遵守してもらいたいということです.水書は,これらのことは研究者・技術者を目指す上で,基本となる考え方,習慣と考えます.

 

水書研究室の主要な「研究室文化」

 研究室の人間関係重視

(研究室コミュニティ)

  学生生活の中心は水書研究室であると意識し,研究室で過ごすことを優先してください.これまでの大学内のつながりが,研究室での関係に優るような状態では,研究に支障が出ます.研究室は,学部4年以降における学生生活の中心としてください.水書の指導方針に基づいて研究室主催の行事が計画され,それを中心に学生生活を送る必要があります.また,先輩後輩関係ができ,教員以外にも先輩から様々なアドバイスや指導を受けることができます.同じ研究室の,同級生,先輩,後輩と良好な協力関係を築いてください.先輩に相談できる人間関係が大変重要です.また,研究室生活と学生プロジェクト等とは一線を引く必要があります.

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「質問せざる者,存在価値なし」

(議論する習慣)

 他者が発表した後には,必ず質問すること.たとえそれが基礎的な質問であっても,自分で考えた質問をすることは重要なことです.また,質問するには,少しの勇気が必要です.それを日頃から訓練してください.研究活動を進めていく上で「議論・質問」は不可欠な要素です.議論なくして,知識の獲得,整理・統合はあり得ません.また,研究室内で互いに研究内容に関心を持ち,議論をすることは,結果的に自分の研究をより良いものとすることに還元されます.他者の発表を聞いて,何も質問しない,できない学生はその場にいる価値がありませんし,発表者に対して失礼千万です.つまり,発表内容を自分とは無関係の雑音として聞いていたと水書は見なします.
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整理・整頓・清掃の徹底

作業着の着用

(安全意識)

  高圧気体を使用した実験を主体とする当研究室では,安全こそが最優先課題です.年度初めに安全教育を実施し,守らなければならないルールを理解し,徹底してもらいます.また,日頃から安全意識を高めるために,実験室内の整理(いらないもの,使えないものはすぐに捨てる),整頓(使用後には決められた場所に保管する),清掃(実験後は,装置やその周辺を片付け,清潔に保つ)を徹底してもらいます.また,実験などの作業時には,作業着や保護具の着用します.大きな怪我や命に関わる事故に発展する場合もあるため,真剣に取り組んでもらいます.また,安全意識が欠如した作業をおこなっている場合は,水書から強い叱責を受ける場合があります.これらは,皆さんの安全を守るために身につけてもらわねばならない習慣です.

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「記録せぬ者,研究する資格なし」

(研究ノート)

 研究は,知的生産活動です.研究ノートに詳細な記録を残さなければ,その成果を他者へ伝達できないばかりか,自分の研究すらもまとめることはできません.このような状態を発見した場合,強く叱責を受けることになります.本人に対する評価も下がります.なぜなら,たとえ学費を払っているとはいえ,現実的には,君たちの研究に使われている大半の予算は,水書が学外から苦労して獲得してきた研究資金です.そのため,たとえ卒業研究といえども,実験結果は,学生個人のものではなく,研究室全体の財産です.また,研究資金のスポンサー(国民や委託元の企業)への報告義務があります.実験装置や消耗品を使っていながら,実験記録を詳細に残していない,まとめていない,ということは許されません.

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「勝つまでやる」

(粘り強さ)

 研究は,時として行き詰まる場合があります.そこで,「どうせダメだ」とあきらめるのではなく,自分なりに試行錯誤して成功への出口を見つけてください.もちろん,そのためには,水書や先輩を巻き込み議論することが重要です.自分の知識が足りないためにもっと勉強が必要であったり,実験条件を変える必要が出てくるでしょうが,よい成果をあげるために必要なことです.考えることで,自分の能力の壁を崩し,その先にある世界を獲得してもらいたいと考えています.